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当事務所では、司法書士業務のあらゆる分野について、私たちの知識と経験を活かし、皆様のご要望や疑問にお答えします。
相続登記、遺言書作成、民事信託、会社設立、法人登記を始め、幅広い分野に対応していますので、お気軽にご相談ください。
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MAIL : support@j-shimada.com
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会社が支店を設けた場合には、二週間以内に支店設置の登記申請をしなければなりません(会社法第911条第3項第3号、第915条第1項)。
これを怠った場合は、会社代表者個人に対し、100万円以下の過料が処せられます(会社法第976条)。
では、そもそも「支店」とは、どのような要件を備えた営業場所を指すのでしょうか?例えば支店以外にも、支社、営業所、事業所など、様々な名称のものがありますが、これらとの違いはなんでしょうか。
今回は、登記実務に大きく関わる「支店」の要件に絞って検討します。
島田司法書士事務所は1983年の創業以来、岐阜市を中心に地域のみならず全国からご依頼を賜り、皆様の課題解決に尽力してまいりました。
\ 司法書士に商業登記の全てをおまかせ/
私が記事を書いています。
島田宏基
・司法書士(簡裁訴訟代理認定)
・一般社団法人民事信託推進センター会員
・行政書士
同志社大学法学部在学中に司法書士試験合格、卒業同日に登録いたしました。企業法務や裁判業務を中心に担当しています。法改正により新たな制度が生まれる中、当事務所では積極的にこれらを活用し、依頼者様の課題解決に取り組んでいます。
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「支店」の定義は、会社法においては明確にされていません。
そのため、何をもって会社法上の「支店」になるかという判断は、拠点それぞれの個別具体的な内容によって判断されることとなります。
とはいっても、支店か否かの判断は登記申請の要否に関わり、場合によっては過料の対象になりうることから慎重に行わなければなりません。
そこで参考になるのが、過去の判例です。
後にいくつか判例をご紹介しますが、これらの判例から導かれる一般的な要件は次のとおりになると考えられます。
本店から離れて、
これらの要件を備える営業拠点であった場合、たとえ「支店」という名称を用いていなくても、支店として扱われ得る点には注意が必要です。
参考になる判例をいくつかご紹介します。
この事件では、会社出張所の所長がいわゆる表見支配人にあたるか否かが争われ、支店の解釈が論点となりました。
裁判所は、「~出張所」と称していた営業拠点について、
① 相場変動の少ない肥料については、本店の許可なく独自に仕入、販売、代金回収及び販売行為を行い
② それらの取立金で従業員の給与を賄い
③ 独自に銀行口座も有していた
という事実から、法律上の支店にあたると解釈しました。
原判決が確定した事実によると、上告会社D出張所は、同市のE工業株式会社の建物の一部を借り受けてそこに設置され、上告会社F支店管下の一出張所であること、F支店は、北は福井県から南は四国を含めて広島県まで計一八県における肥料の仕入、販売、金融その他これに付随する一切の業務を取り扱つているところ、右D出張所は、相場の著しい変動あるものの仕入はとくに右支店の許可を要したが、それ以外は右許可を要せず仕入行為をすることもあつて、肥料を高知県下に販売し、その代金の回収と右販売に伴う運送等を行つていたもので、同出張所における昭和三二年頃の年間肥料販売額は四千万円にも達していたこと、本件手形振出当時も、職員として出張所長の下に男女合せて三名が勤務し、右職員の給料を除くその他の出張所の日常経費はその取立金で賄い、不足を生じたときは右支店から送付されることになつており、右出張所の金銭出納のためにG銀行H支店に普通預金口座が設けられていたことがいずれも認められるから、D出張所は、単に機械的に取引を行うにすぎない出先機関たる売店、派出所ないし出張所とは類を異にし、前記販売業務の範囲内では、本店から離れて独自の常業活動を決定し、対外的にも取引をなしうる地位にあつたと認められるというのであるから、このような場合には、右D出張所は、上告会社の支店と解して妨げなく、右出張所長の名称を付せられていたIは商法四二条にいう表見支配人に該当するとした原判決は首肯しうる。
最高判 昭和39年3月10日 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53096
この事件においても、上記と同じく支店の解釈が論点となりました。
裁判所は、
① 緊急を有する場合は、小工事については本社に連絡することなく独自に契約締結をした
② 資材購入とその支払いを行っていた
事実から、やはり支店であると解釈しています。
原判決は、上告会社A建設工業株式会社のD出張所においては、他と請負契約を締結する場合緊急を要するときは、小工事については本社に連絡することなく出張所長において仕事の内容を検討して契約を締結し、その為に必要な或る程度の資材の購入、その代金の支払等をなしていた旨を認定した上、右D出張所はその業務の点において支店としての実質を具えていたものというべく、従つてその長は商法四二条により営業に関し支配人と同一の権限を有するものとみなすべきであり、手形の振出は営利会社である上告会社の営業範囲内の行為と解すべきである旨を判示している。右原審の事実認定は挙示の証拠によりこれを是認できないことはなく、原審の前記法律判断も正当である。
最高判 昭和37年9月13日 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52964
某保険会社における「~支社」が、法律上の支店にあたるか否かが争われました。
裁判所は、
① 新規保険契約の募集と第一回保険料徴収の取次のみをその業務とし
② 主たる事務所(=本店)から独立して保険契約の締結、保険料の徴収ならびに保険事故ある場合の保険金の支払業務を独立してする権限、組織を有しなかった
という事実から、法律上の支店には当たらないと判断しました。
「支社」という、外観上は支店と同等の拠点であっても、実態が支店と言えないものである場合は、法律上の支店とは言えないということになります。
しかし、商法四二条にいう「本店又ハ支店」とは商法上の営業所としての実質を備えているもののみを指称すると解するのを相当とするから、右のような実質を欠き、ただ単に名称・設備などの点から営業所らしい外観を呈するにすぎない場所の使用人に対し支配人類似の名称を付したからといつて、同条の適用があるものと解することはできない。保険業法四二条により商法四二条が準用される相互会社の場合も、叙上と事理を異にするものではないといわなければならない。原審が確定したところによれば、被上告会社は、保険契約の締結、保険料の徴收ならびに保険事故ある場合の保険金の支払をその基本的業務内容とするものであるが、同会社D支社は、新規保険契約の募集と第一回保険料徴收の取次がその業務のすべてであつて、被上告会社の基本的事業行為たる保険業務を独立してなす権限を有していないというのであり、右事実関係のもとにおいては、D支社は、被上告会社の主たる事務所と離れて一定の範囲において対外的に独自の事業活動をなすべき組織を有する従たる事務所たる実質を備えていないものであるから、商法四二条の支店に準ずるものではなく、したがつて、同支社長Eも同条にいわゆる支店の営業の主任者に準ずるものでないと解すべきであり、これと同趣旨に出た原判決は結局正当である。
最高判 昭和37年5月1日 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57729
某工業系会社の出張所について、支店の判断につき争われました。
大阪高裁は、
①出張所の業務が、原料を入手してこれを本社の直属工場に発送することのみであった
②基本的営業行為たる製造、販売業務には全然関与しなかった
という事実から、法律上の支店にはあたらないと判断しました。
これらの判例をもとに、よくある質問をご紹介します。
業務拡大の内容によりますが、上記に紹介した要件を満たすようになるのであれば支店登記申請が必要になるものと考えられます。
一般的に設置日は、
①現実の設置日
②会社の決定日
の両方を満たしたいずれか遅い日とされています。
今回については、当該事業所は既に設置されていますから、当該業務拡大に関する取締役会等の決定日でよいと考えます。
上記要件を満たすようになるのであれば、支店登記申請が必要になります。
支店設置の登記申請をします。
また、元の支店設置まで遡る必要はなく、当該移転決議をもって支店として扱う(移転日を設置日とする)ものと解すれば足りると考えます。
議案中にその旨付言するとよいでしょう。
法律上の支店の一般的な要件を考察しました。
具体的な判断は個別的に考えなければいけませんが、ある程度の基準にはなると思います。
会社関係者の皆様で不安な事項などあれば、お気軽にご相談ください。
私は、学生時代をコロナ禍と共に過ごし、通学ができなかった数年間は司法書士事務所で仕事をしながら学問に勤しみました。実務経験をもって司法書士登録できたことが、私のアドバンテージとなりました。
現在は主に、商業・法人登記を初めとした企業法務関係と裁判業務を担当しております。昨今の法改正により、新たな制度が多数可能となっていますが、当事務所ではこれらを積極的に利用して依頼者様の課題解決に尽力します。これからも勉強を続け、あらゆる分野において最先端の知識と実務経験を有することが出来るよう、おごらず謙虚に努めて参ります。