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当事務所では、司法書士業務のあらゆる分野について、私たちの知識と経験を活かし、皆様のご要望や疑問にお答えします。
相続登記、遺言書作成、民事信託、会社設立、法人登記を始め、幅広い分野に対応していますので、お気軽にご相談ください。

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種類株式の導入における自己株式転換の決定機関

単一株式発行会社が種類株式を導入する場合において、自己株式を転換する際の決定機関について考察いたしましたので、ご紹介します。

なお、文献を当たったところ的確な記載は見当たらず、あくまでも個人的な見解である旨ご承知おきください。

こんなお悩みはございませんか?
  • 種類株式を導入したい
  • 自己株式を処分したい
  • 組織再編の対価として、無議決権株式を与えたい

島田司法書士事務所は1983年の創業以来、岐阜市を中心に地域のみならず全国からご依頼を賜り、皆様の課題解決に尽力してまいりました。

司法書士に商業登記の全てをおまかせ

 私が記事を書いています。 

副所長 島田宏基

島田宏基


・司法書士(簡裁訴訟代理認定)
・一般社団法人民事信託推進センター会員
・行政書士


 同志社大学法学部在学中に司法書士試験合格、卒業同日に登録いたしました。企業法務や裁判業務を中心に担当しています。法改正により新たな制度が生まれる中、当事務所では積極的にこれらを活用し、依頼者様の課題解決に取り組んでいます。
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目次

種類株式の導入方法

会社法に規定はあるか

種類株式の発行については、①設立時における発行②設立後の新株発行に関しては会社法上の規定があります。

対して、発行済みのある株式を他の種類の株式に転換すること(以下「種類株式導入」といいます。)については、会社法上なんら規定はありません。

種類株式導入はできる

上記のとおり、会社法上なんら規定のない種類株式導入ですが、登記実務においては次の方法により行うことができます(昭和50年4月30日付け民四 第2249号民事局長回答)。

STEP
種類株式の定めを設ける定款変更

発行可能種類株式総数や種類株式の内容につき定款変更します。

STEP
既発行株式から種類株式に転換する個々の株主と会社との合意

株主と会社で種類株式に転換する合意をします。株主と会社という特殊な関係性において合意(=契約行為)をすることには少々違和感がありますが、この方法が認められています。

STEP
株式の変更に応ずる株主と同一種類に属する他の株主全員の同意

種類株式に転換しない残存株主の同意が必要とされています(当該株主を害さない場合は除く)。

STEP
その他の種類株式(損害を受けるおそれのあるもの)の種類株主総会の特別決議

自己株式を種類株式に転換したい場合は?

取締役会の決定、又は取締役の過半数の一致

上記で記載したとおり、種類株式導入には既発行株式の株主と会社において合意する必要がありますが、自己株式の場合は株主が会社自身ですので、自らが自らと合意することはできず、どうすればよいか問題となります。

私の私見ではございますが、取締役会設置会社であれば取締役会の決定、取締役会非設置会社であれば取締役の過半数の決定で足りると考えます。

理論的な話

株主総会との権限分掌

会社法上、株主総会の決議事項とされている事項については、取締役会の決定、取締役の過半数の一致又は取締役単独での決定をすることはできません(会社法第295条第3項)。

この点、自己株式を他の種類株式に転換することについて会社法上何ら規定はありませんので、株主総会決議を行う必要はないことがわかります。

単独の取締役との権限分掌

会社法においては、取締役会非設置会社及び取締役会設置会社につき、それぞれ次のような規定があります。

【取締役会非設置会社】

(業務の執行)
第三百四十八条 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
以下省略

【取締役会設置会社】

(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
以下省略

すなわち、会社が決定しようとする事項が「業務の決定」又は「業務執行の決定」に該当する場合は、取締役会設置会社であれば取締役会の決定、取締役会非設置会社であれば取締役の過半数の決定によるべきと解釈されます。

「業務の決定」又は「業務執行の決定」にあたるか?

「業務の決定」又は「業務執行の決定」に該当するかどうかは、結局のところケースバイケースではありますが、少なくとも登記事項に変更が生じるようなものについては、軽微な変更とはいえないため「業務」に該当すると考えられています(松井信憲『商業登記ハンドブック[第4版]』商事法務164頁)。
種類株式導入においては、登記事項のうち発行済みの各種の株式の数に変動が生じますので、上記に該当するものと言えます。

また、自己株式の種類株式への転換として近しいものに、株式の消却(会社法第178条)があります。株式の消却の決定機関につき会社法上の規定はありませんが、一般的には「業務」にあたるものとされています(松井信憲『商業登記ハンドブック[第4版]』商事法務179頁、平成18年3月31日 民商第782号 民事局長通達 〔五六〇六〕)。

以上より、自己株式の種類株式への転換に関する決定は「業務の決定」又は「業務執行の決定」に該当すると考えられます。

この記事を書いた人

 私は、学生時代をコロナ禍と共に過ごし、通学ができなかった数年間は司法書士事務所で仕事をしながら学問に勤しみました。実務経験をもって司法書士登録できたことが、私のアドバンテージとなりました。

 現在は主に、商業・法人登記を初めとした企業法務関係と裁判業務を担当しております。昨今の法改正により、新たな制度が多数可能となっていますが、当事務所ではこれらを積極的に利用して依頼者様の課題解決に尽力します。これからも勉強を続け、あらゆる分野において最先端の知識と実務経験を有することが出来るよう、おごらず謙虚に努めて参ります。

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